2012年11月16日

再び、なんでもかんでも6次産業?

少し前ですが、岡山へ行ってきました。
備中地域の加工グループの女性たちと一緒に、商品力アップ研修会を開催してきました。

岡山商品力アップ研修会.JPG

「もっと売上伸ばしたい!」
「でも、面倒なことはしたくないなぁ」
「行政がなんかしてくれるなら」
あ、備中の皆さんたちがそうだというのではありません。
このちょっと我がままで矛盾したニーズは、各地の女性加工グループにもみられる一般的な課題です。

売上を伸ばすためには、面倒なことをやらなければなりません。行政に頼らずに、やれるところから取り組まなければなりません。
そのステップを皆さんと一緒に考えました。

女性は「共感」の生き物。
男性よりも想像力があり、コミュニケーション能力が高いと言われています。
だから、商品開発には女性の視点、感性が欠かせません。

内田さんお土産.JPG

岡山には、私の大好きな人たちがいます。
中でも、Uさんは私がとても尊敬する人です。
今回は会えなかったのですが、なんと、研修会に出席してくださった職場の同僚の方から「Uさんからです」と、お土産をいただきました。それが、この「果樹園のフルーツカレー」と「黒豆ブレンド珈琲」。岡山県の6次産業事業の中から生まれた商品です。

岡山県の6次産業化の動きがわかる「6次化ふぇ」↓
http://www.facebook.com/okayama.pref.6jicafe

■果樹園のフルーツカレー(有限会社スコレー)
晴れの国おかやまは、温暖で穏やかな気候に恵まれた地域。この素晴らしい環境の中で育つフルーツたちのおいしさは抜群。このカレーには、そんな温暖な気候の中で育まれたドラゴンフルーツをブレンド。フルーティーでマイルドなカレーに仕上がっています。

私が何よりうれしかったのは、渡された紙バッグの中に入っていたUさんからの直筆のお手紙。
Uさん独特のかわいくてあったかい文字を見た瞬間に、彼女のやさしいお顔が思い浮かび、うれしくてありがたくて、だからなんだかもったいなくて、まだ食べていません(笑)。
Uさんセレクトだから、きっと美味しいだろうと確信しています。
カレー&珈琲、食したら、Uさんにきちんと感想をメールするつもりです。

さて、再び6次産業について。
以前にも「加工品をつくれば6次産業」的な動きに辟易している、とこのブログにも書きましたが(「とりあえずつくってみるのが農業の6次産業化」)、TPPへの対抗策なのか、農業の唯一の明るい面だからなのか、6次化への動きは加速するばかりです。

そ もそも、6次産業とは、約15年前、東大名誉教授の今村奈良臣先生が提唱された造語。原料を供給するばかりで村外へ収益を流出させてしまっている村に2 次・3次をも取り込み(1次×2次×3次)、農業=総合生命産業で、農家の手で村を豊かにしようという目的でスタートしたもの。

ここ数年、急に6次産業なる言葉がさまざまな場面に登場。
当初のコンセプト・本質は忘れ去られ(ないがしろにされ)、手段が目的にすり替わり、加工品をつくって販売すること、あるいは企業と連携して加工品を製造・販売することが6次産業だという「誤解」が王道になってしまっています。

農家が安易に2次・3次産業者と手を組むことは、またも利益を村外に収奪されかねず。
しかしながら、私自身は、国策としてみんな揃って6次化に向かう中、すでにその兆候はあちこちで現れていると認識しています。

商品をつくることが6次産業ならば、一昔前の「つくるだけの農業」と何ら変わりはありません。
それを補助金をつかって奨励しているだけのこと。
2次、3次のプロに頼めば、かっこいい売れる商品にしてくれるのでしょうか???

商品づくりには、つくる前にやること、つくった後にもやることがたくさんあります。
企業、メーカーがものづくりの際に何をやっているのか、それを紐解くだけでも、商品づくりは変わって来ます。
まずはそこから始めるべきではないでしょうか。