2018年4月23日

心通い合う人との出会いこそ、宝

今年も、茨城県日立市の私の隠れ家宿へ行ってきました。
......と記事アーカイブを調べて気付きました。
昨年、その旅について記事にしていませんでしたね、汗。

たぶん、すごく大事にしたい、わかりあえる人だけにそっと教えたい!と思ったから。
そのくらい、私にとって、宝物のような宿なんです。

でも、今回は、その宿情報を解禁、笑。
待っててくださったのです。昨年の訪問以来。
私もオーナーとその奥さまに会いたくて、会いたくて、念願かなっての再訪に、その日を心待ちにして伺いました。

日立駅から海岸沿いを走るタクシーが、目の前が海の、まるでプライベートビーチの宿「うのしまヴィラ」に到着すると、草採り中の原田オーナーがなつかしい笑顔で、そしてすぐに、CAFE&DINING「sea・ne(海音)」から奥さまも出てきて迎えてくださいました。
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▲オーナーもそうですけど、奥さま、ステキな笑顔!

この時点で、私は目標の8割を達成、笑。
お2人の変わらぬ穏やかで優しい笑顔を見ただけで、もう何も要らないくらい、満足してしまいました。

とはいえ、海が見える大浴場でゆったりとくつろぎ、良い加減にお腹を空かしていただいた夕食はやはり至福の時間でした。
奥さま手料理のお皿の数々は、昨年の感動そのままに、妥協のない安定の美味しさ。サーブくださったオーナーに伝えました。

「都心の有名料理店・レストランの料理よりずっとおいしい、数段上です!!!」

リップサービスではなく、本音です。
地元の信頼できるつくり手の素材を使い、こんなに繊細で素材の味を最大限に引き出した、味も見た目もセンス抜群のお料理を供する奥さまの腕には脱帽!感服!感涙!です。何より、どのお皿にも愛が溢れているんです。

「うのしまヴィラ」との出会いは、昨年。
誕生日にちょっとリッチな一人旅をしてみようと思い立ち、偶然、インターネットで見つけて予約したことから。
泊った日は、たまたま他のお客さまが出立された後で貸し切り状態に。まるで、オーナーご夫妻との出会いが仕組まれていたかのような! その、たった1人の私のために、大浴場にお湯を張ってくださり、最大限のおもてなしをしてくださったのでした。

夕食時には、思わず、オーナーとゆっくりお話ができました。
そこで初めて、3.11の震災で宿は大きなダメージを受け2年間営業できずに無収入だったこと(うのしまヴィラの前身は、奥さまの御実家・歴史あるる「鵜の島温泉旅館」。当時は、日本家屋の伝統的な宿)、宿を閉じようと思っていた矢先、震災ボランティアをしていた息子さんの思わぬ一言で、現在の「うのしまヴィラ」が生まれたことなどを知りました。

「(宿は)俺がやるよ」

これまでそんなそぶりは一切みせず、むしろ親の仕事、宿業には興味がないのだろうと思っていた、と、オーナー。

でも、息子が後を継いでくれるなら。
借金をして再起に奔走、海辺のヴィラとしてリニューアルを施した宿には、2階が大浴場・1階が海の見えるカフェ「sea・ne」を併設。そのカフェで早々にランチ営業を始めたのは、地元の皆さんにこの「海」の見える空間を解放して、震災で疲れた心を癒してほしかったからだとか。

原田オーナーご夫妻の温かな思いは、訪れる皆さんに静かに深く浸透してゆき、「sea・ne」は、来訪者のみならず地元の人に愛されるカフェに成長しました。

2人の息子さんたちは、ご長男が採用が決まっていた企業の内定を辞退して料理修業に出ると、兄に対抗するかのように「俺も料理人になる!」と、弟さんも京都の料亭に修行に。

昨年、お話を伺いながら思わず、幾度が胸が熱くなったことを思い出します。

オーナーは、実は、日立ご出身ではなく、生まれは広島県。なんと、名古屋芸術大学サックス専攻のアーティストであり、日立交響楽団ではティンパニ奏者として活躍。その経歴と感性、地域愛とお人柄を見込まれて、数年前には日立野外オペラ『マクベス』の総合プロデューサーも務められた方。

オペラ公演は、オーナーの地域への思いが結実した集大成だったそう。

しかーし。
今年伺うと、その集大成のさらに上をいく一大プロジェクトの要の役を担っておられました。日立を舞台にした新田次郎原作『ある町の高い煙突』の映画化が決定し、地元の映画化応援する会の事務局長に就任されていたのです!

原作は、鉱山の煙害に、企業(旧・日立鉱山)と市民双方のキーパーソンが対等に誠実に向き合い、苦闘しつつも乗り越えていった実話がベースになっています。市民側代表は、絶望的状況にあっても決してあきらめず自ら汗をかき粘り強く交渉し、聴く耳をもっていた企業側代表は、被害を減少すべくたゆまぬ実験と挑戦を続ける......この映画には、企業と市民が共に手をとり地域のために行動した「企業CSRの原点」がある、と、オーナーはお話くださいました。

これも何かの縁と、日立の歴史を紐解き、高煙突建設に関してリサーチすれば、当時の関係者の新族のお一人が郷里のお母さまの知人だったり......やはりこのお役目は、オーナーのミッションだったのですね。

「宿は、自分のところだけ栄えてもダメなんですよね。近隣、地域全体が元気にならないと」
と、昨年、語ってくださったオーナー。

決して声高ではなく、肩肘はらず、施設に、お料理に、お話に、そこはかとなく地域への愛があふれていて、それがまったく自然体なのです。

映画のキャスト候補の役者さんたちへのアプローチとそれに対する役者さんたちの粋な対応など、思わず、「なんてカッコイイ!」と叫んでしまったくらい、連鎖する人たちの中に見える「当たりまえ」の人としての光、品格みたいなものを感じて、ただただ感激していました。

そして、心から思ったのです。
あぁ、私はこういう方たちと出会いたいとずっと思ってきたのだなぁ、こういう方たちと何かご一緒したいんだなぁと。

ご夫妻と同じ空間で自分が生きていることが無性にうれしくて、この出会いをくださった神さまに、この幸せに、深く感謝しました。

そして、もう一つ。
オーナーが私に早く知らせたかったと言って見せてくださったのが、コレです↓
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盾にあるように、旅のプロたちが評価し選出した優れた宿に贈られる栄誉ある賞です!

「毎年受賞されているのは、有名旅館や名だたる観光地や温泉地ばかりでうちなんか縁がないと思っていたのですが」
「いったいいつ審査に来られたのか、何をもって評価されたのかわからないんですけどね」

おめでとうございます!!!
当然の受賞だと思います。だって、私が安心と信頼を寄せる、「心の宿」ですもの!

前回訪れたのは、私の誕生日でした。
今回は、それより少し前。だったにもかかわらず、夕食の最後、デジャヴが。昨年同様、オーナーがライトとBGMを消して、iPhoneでHappy Birthdayのメロディを流しながら、「ちょっと早いですけど」と笑ってデザートをサーブくだったのです。

プレートには、奥さまがチョコで「Happy Birthday」と私の名前を書いてくださって。

また、泣かせてくださいました。

私は、長年多くの人とお会いしてお話を聴いてきましたので、その人のお顔を見ると情報が一瞬にして降りて来ると言いますか...なんかわかるのですよね。その方の人なりが。素のお人柄が。

原田オーナーは初めてお会いして一目見た瞬間、わかりました。

やはり、「顔」は人の履歴書ですね。
私も恥ずかしくないよう、中身を磨かなければ。

原田ご夫妻、このたびも、本当に素晴らしい幸せな時間をありがとうございました。
またお会いしたいです。
いえ、必ず、またお会いしに伺いますね!