何もないけど何かある、不思議漁村「伊座利」HPリニューアル!

伊座利はイザリと読みます。
徳島県の美波町にある小さな漁村集落です。
その伊座利のホームページが新しくなりました!
腐れ縁の美波町(旧由岐町)職員のKおっさんからHPリニューアルを依頼され、ならばと声をかけたのが、愛媛の私の妹分(!?)竹森ガーデンの竹森まりえさん。
久万高原町のりんごとぶどうを経営する農家の長女で、大阪でライター業をしているときに実家のHPを作ったのをきっかけに、農家のHP制作のおもしろさに目覚め、以来、あちこちの農村を旅して農泊しながらHPを作るということを仕事にしてきた美人です。
今では、農家のHPのみならず、仲間と組んで自治体のHPや民間企業のHPも手掛けています。

彼女との出会いは約8年前でしょうか。彼女が私の前職場に訪ねてきてくれ(理由はなんだったかもう忘れました…)、話をするうちに意気投合、当時私が編集長を務めていた雑誌『びれっじ』に「インターネットレッスン」という連載を担当してもらうことになったのです。
私が彼女に共感するのは、当初から一貫してHPをコミュニケーションツールとして捉えている点です。
それに、ビジネスライクというよりも、依頼者の気持ち、信頼関係を大事にすること。「儲けが下手」という私との共通点もありますが(笑)。
地域にかかわることは、信頼・信用が第一だと思っています。
だから、今回、彼女にお願いしました。あけっぴろげだけど、人を見る目は確かな伊座利のおっちゃん・おばちゃんたちと心を通わせて「使ってもらえる」HPを作るには彼女しかいないと思ったのです。

まずは2人で伊座利を訪問。Kおっさんと打ち合わせして、私が作った企画とコンセプトともとに竹森(と、いつも呼んでます)がHPの構造を組みたててスケジューリング。主要なところは私がテキストを作り、素材がそろったところで竹森がせっせと制作。
そうして出来上がったのが、これです。↓
http://www.izarijin.jp/

超簡単、携帯投稿可能だから、おっちゃんたち、おばちゃんたち、HPを使いこなしてます。
「どうやったら楽しく“使ってもらえる”サイトになるか」
今回、竹森と一緒に仕事してみて(サイト制作でコラボしたのはこれが初めてなのです)、彼女のサイト制作の姿勢に敬服すると共に、大いに勉強にもなりました。竹森ぃ~、ありがとう!!
彼女のこと、私の妹分だなんて言ってしまいましたが、実のところ、彼女はこの分野に関する私の師匠でもあります(『いちぐう』サイトでもお世話になってます。ホントに頼れる“ヘルプデスク”です)。

「徳島県南部、美波町の東端に、三方を山に囲まれた小さな漁村集落があります。特別な観光地も有名な料理もありません。
ただ、変な人たちがたくさんいます。
一度会ったら忘れたくても忘れられない、強烈で助平で変なおっちゃんととびきり明るく元気なおばちゃんたちがいます。
無骨で気ままでテキトー。でも、なんだか熱くて、芯がある。それが伊座利流。出会ってしまったが最後。後ひきます」
我ながら気に入っているトップページの伊座利紹介文です。
お世辞でも脚色でもなく、ホントにのこの通りの村なのです。

伊座利との出会いは……竹森と知り合うもっと前、Kおっさんから地域づくりの勉強会への出席を依頼されたのが始まり。10年以上前のことになります。
徳島空港に迎えに来てくれたのがKおっさんでした。
車に乗り込むと、したを向いて何やらゴソゴソ。
「永田さん、なんやすんません。この車、動かし方がようわからんで…」
とかなんとかモゾモゾ、言葉がはっきりしない。この人。ちょっと変な人かもしれない、どうしよう…。
いやーな予感がぐるぐる私の頭の中を回り始めると、そこへ宅配便の配送車が。
「ちょっと、あのお兄さんに訊いてきます」
と、Kおっさんはさっさと車を降りてしまいました。
戻ってきたKおっさん、
「いやぁ、この車、役場のなんですけどオートマだと知らんで。マニュアルしか乗ったことないもんで」
無事、空港を出発できたのですが、これがKおっさんとのファーストコンタクト。極めて悪ーい印象だったのですが、それがこんなに長く続いているのは、もう腐れ縁としか言いようがありません。

ある時、伊座利の漁師のおっちゃんたちが起死回生で始めた海藻・アラメ製造・加工事業について、私が激しく意見したことがありました。漁師のナオちゃんは私に、
「おばはん、帰れ!何もわかっとらんクセに帰れ!」
と、怒鳴りました。
翌日、ナオちゃん、
「きのうはあんなこと言ったけど、また来てな」
いや、ナオちゃんの言うのはもっとも。よそ者の私が偉そうに意見できることではありませんでした。
事業を進めるのも、地域を動かすのも、そこに住む人たち。
外の人間がちょこっと来て何かができる、変えられるなんて大間違い。それはおごりです。
以来、私はKおっさんとナオちゃんから、「永田のおばはん」と呼ばれ今日に至っています。
★以下、このページの全ての写真撮影:竹森まりえイカの炭火焼.jpg
▲ある日の産直市(第4土曜日開催、秋~初夏)でナオちゃんが焼いてくれた獲れたてのイカの赤ちゃん。これが美味!

一昨年にはおばちゃんたちがカフェを開きました。イザリカフェ外観.jpg
▲港を見下ろす最高の場所に建つ伊座利Cafe。右隣の敷地に漁協がある。2階は自炊可能な長期滞在用のコンドミニアム。

 

お皿からはみ出しそうなくらいの朝獲れの旬の魚介たっぷりのおばちゃんたちの愛情満腹定食をいただき、海を眺めながら本格ドリップコーヒーをいただく。店内に流れるのは演歌じゃなくて、JAZZ。これ、Kおっさんのこだわり。
その昔、Kおっさんとカフェ構想についてよく話をした時、意見が一致したのが「木製カウンター、本格コーヒー、JAZZ」でした。
漁村の食堂とオシャレなカフェがいい具合に融け合いマッチした味わいある空間です。
今では、土日ともなればランチタイムは大忙しの大人気カフェです。

 

黒にいちゃんの店.jpg
▲こちらは漁師の黒にいちゃんの店、お魚食堂「弘伸丸」。こちらもランチタイムはすぐに満席に。
黒にいちゃんとまこっちゃん.jpg
▲はちまきがトレードマークの黒にいちゃん(右)と、若手のエース、イケメン漁師のまこっちゃん。

 

近年、さまざまな賞を受賞して有名になりつつある伊座利ですが、どんなに栄えある賞をいただこうとも、どんなに雲の上の方からお褒めの言葉をいただこうとも、ふだんのまんま。子どもにいらんこと教えて喜ぶ助平なおっちゃんたちと、そのおっちゃんたちを掌の上で遊ばせ懐深ーくがっちり手綱を締めている明るいおばちゃんたちです。みんなテキトーでバラバラで、でも、互いに違いを認め合って、自分にないところを補い合って、助け合っている。絶妙のバランスの不思議なコミュニティがそこにあります。

ぜひ、新しくなった伊座利のHPを覗いてみてください。
伊座利の応援団になって、一度伊座利を訪ねてみてください!
Kおっさんと私が今後進めたいと考えているのが、「全国伊座利化計画」。
詳細は伊座利のHPをご覧くださいませー。