2015年6月24日

横山秀夫ワールド雑感

昨日は、東京農大の大久保研究室におじゃましました。
また、今年も会津坂下町の事業でコラボレーションさせていただきます。
今年度のプロジェクトには、なんと、13名もの学生さんが参加してくださることになりました。

昨年度はしょっぱなからいきなり、「遊びじゃないのよ」、「テキトーは現場の皆さんに失礼です、通用しません」、「これは仕事です」と、ビシバシモード全開でぐいぐい進めていったせいか、当初5~6名→最終的には3名に(でもその最終メンバー3名はホントに最強でした~!)。

で。
今年も、やっぱり、優しくなんかしませんでした(笑)。
しょっぱなからハードにいきましたよ。
昨年度のコラボ事業のことを知って、今年は研究室に女子が殺到......とのウワサ通り、13名のうち半数以上が女子!!! そんな中、参加希望の男子諸君がこれまたいい目をしており、意識も意欲も高い! う~ん楽しみです。

今年走らせるプロジェクトは2本。
昨年からの継続の「地域オリジナル商品開発」と、新たに「会津地域および会津産品広報ツール提案」です。
2チームに分かれて、次回より本格スタート。
大久保研の皆さん、どうぞよろしくお願いします~。


さて、きょうは惚れてしまった小説に絡むモノローグを。

横山秀夫さんの『64(ロクヨン)』です。
一昨日読了しました。
実は、白状しますと、「積読」の一冊だったんです、一昨年から。持つ手が重みで痛くなるくらいの分厚いハードカバーなものですから、移動で持ち運ぶのを躊躇しているうちになんとなく読みそびれてしまい...。

きっかけは、NHKの土曜ドラマです。以前、同枠で放映された横山秀夫さんの『クライマーズ・ハイ』の重厚感、スピード、クオリティに衝撃を受け、夢中になり、その後原作を読み、さらに感動しました。この時の強烈な印象、そして、今回のドラマは、その『クライマーズ・ハイ』の制作陣の渾身の作であること、原作に忠実に横山ワールドを再現していると聞いて、期待値大で視聴しました。

NHK、がんばったと思います。
原作を読んでみると、改めて、脚本、特にセリフがほぼ原作通り、キャストも公開予定の映画版よりも原作のイメージに近かったと感じます。
原作では、一部の新聞記者に「鬼瓦」と呼ばれ、娘は父とそっくりな醜い顔を嫌悪して精神を病むという主人公の三上広報官。映画版の佐藤浩一さんではイケメン 過ぎるでしょう。ピエール瀧さん、全身で三上広報官役を演じておられました。ただ、1点、残念ながら、多くの方が感想をもらしておられましたが、ボ リュームを上げてもセリフが聞き取りにくかった(滑舌が悪すぎました......)。

そのNHKドラマを視たことから、積読だったハードカバーを2年ぶりに手に取りました。
それからは、もう、もう、もう!!!止まりませんでした、睡眠時間を削って読み続けました。こんなすごい本を読まずにいたなんて(反省)。

『64』が横山作品の中の最高傑作と評されている理由がわかりました。
『クラマーズ・ハイ』もそうでしたが、圧倒的な筆力です。無駄のない、練られた文章は、文章を読むこと自体が快感になるような、一語たりとも逃したくない、読んでしまうのがもったないと思うくらいの。

登場人物たちの会話がいいんですよ。自然だし、キャッチボールがリズミカルで、濃密な関係だからこそ交わせる、言葉少なでありながら生きた深い会話、行間の余韻が絶妙。珠玉です。

小説を読むことの喜びを、久々に味わった感じです。

小説でも、ノンフィクションでも、書き手の人となりが現れるものですよね。
当然、読み手の側の好き嫌いも分かれるところです。

私は横山さんの小説のメインキャラクターたち、特に男性たちの不器用な懸命さ、男気に魅かれます。
決してスマートではなく、時にブザマで格好悪いオッサンたちの、人として、また仕事人としての「矜持」をまさに体を張って示す姿にやられ、「うん、私も、私も」と深く頷きながら共感するのです。

現実の世界の中でも、私も、そうありたいと。
最後のその一線だけは譲らずに生きたいと。

友人が同僚から、「真面目は褒め言葉じゃない」、「そう言われるとうれしくない」と言われたそうです(彼女は、褒め言葉として彼に言ったつもりでした)。

わかります、わかります、私もうれしくないですもの。
ずっとそうでしたから。

「あなた、真面目だからねぇ~」

この言葉の真(裏)の意味は、
「だからあなたは融通が利かない、冗談が通じない、おもしろくない」
です。

ただただ懸命にそうしか生きられない不器用な我々は、「真面目ねぇ」の言葉に込められた裏のニュアンスを感じ取り、どれだけ傷ついてきたことか。

でも、今なら、こう言い換えます。

「そうですね、真面目......というより、自分に正直にしか生きられないんです。誠実でありたいんです」

かつては、感受性が強すぎる自分を恨み、「鈍感力」がうらやましく、涼しい顔で表面をこなせるようになれればと涙したこともありましたが、今は、こんな私で(私だから)よかった...!

 
今年は、現在制作中の、8月ごろまでにオープンの予定のWebサイトが2本(どちらも、「てまかえシスターズ」作です)、また新たにある島のお仕事も走り出しそうな感じです。

ワクワクする楽しい夏になりそうです。