2013年3月26日

だから、協働したい

あぁ、年度末です。
自治体や公的な仕事の締切(納品)は「3月末までに」というのがほどんど。
でもって、毎年先方さまのご都合でスタートが遅れるから、年度の後半に一気にしわ寄せがきて、この時期はものすごいことになってしまいます。
かなり、ストレス溜まってます。
まだスッキリとはいかないのですが、梅も桜も咲いて、もう春がやってくるし......と、1カ月ぶりの更新です。


このところ、いろいろなところでお話させていただく機会が多かったのですが、そのことで改めて考えたことがあります。

私が講演やセミナーなどの仕事を請けさせていただいた場合、まず、ご担当の方と密にコンタクトを取り、とにかく、現地の様子、現場情報、ご参加予定の皆さんがどんな方々なのかをしつこく、しつこくお聞きして、資料をいただき、情報収集に努めます。
お付き合いいただく担当の方はきっと、「ああ、面倒くさい奴だ」と思われていることと思います(笑)。

でもこれには、私なりの理由があるんです。
その地域や地域の皆さんのことを良く知らない私が、自分の言いたいことだけしゃべるのは、ご参加いただく方々に失礼です。
たとえ私がかつてその地域に何度か通い、知り合いがいたとしても現場の状況は経年で変化しますし、当時も私が知っていたのは、その地域の「一部」でしかありません。

とにかく、可能な限り、全体像を掴みたいのです。
そこから「焦点」を絞り込みます。
私がどのような役割を、どのように演じれば、今回の会の目的が達成され、ご参加の皆さんがご満足いただけるか。
どうすれば、少しでも皆さんのお心に響くお話ができるだろうか。

できれば、講演会やセミナーの前に、自ら現地調査できればいいのですが、それができるのはごくごく稀なケース。
従って、事前に、ご担当者を通じて得た現場の状況(現状、課題、行政の動き、民間の動き、地域の皆さんの意識)を頭に叩き込みます。
その上で、今回の参加者の皆さんがどういう方々で、農業者であればどのような経営をされていて、何が課題で、どんな意識をお持ちなのかを、さらにお訊きします。

ところが、時に、「参加者はどういう人たちなのか?」という問いに対する明確な答えがない場合があります。
「現場の農家の皆さん全員と知り合いではないですし」
「全員を把握するのはなかなか難しくて」
......ええーっ!? それが皆さんの「お仕事」なのではないのですかぁ???
各種事業の受益者たる人たちの「顔」を知らずに、彼らの本音も聞かずに、どうやって仕事をするんですか?

市町村合併で担当区域が広がり、一方で人手は減り...という状況の中、「地域全てに目を配れない」現状にジレンマを感じながらも懸命にお仕事をされている行政職員さんがおられることは承知しています。

けれども、どうも、多忙を理由に、地域の事業者や農家の皆さんとコミュニケーションを取る、現場の声を聞くという一番大事なことのプライオリティが下がってはいないだろうか、「それでよし」とされている現状ってどうなの? と私は思ってしまうのです。

「まだ今の部署にきて1年目なので......」
私ならば、着任したらすぐにできる限り多くの現場の方々にご挨拶に行き、顔を覚える、覚えていただくことから始めるけどなぁ。
それがもしもできない状況になったら、地域の農家を良く知る職場の先輩から情報を得ようと思うけどなぁ。

本来最も比重を置くべき現場での動き=声を聞いてそれを仕事に反映することよりも、きっと、事務所でのデスクワークが大変になっているんでしょうね。組織内のさまざまな事情もあるんでしょう、きっと。
でも、そのしわ寄せは、現場に行きますよね。

そして、こうしたお仕事で時々遭遇するのが、ご担当の方は意識が高く、目的も明確にお持ちなのですが、当の参加者の皆さんがそうではない場合。
誰のための会なのか? 誰の満足のための会なのか?
こう言う時は、まず会場の雰囲気を見て「?」、次に壇上に立って「あれ?」、そして講演しながら、「あちゃー」。

私がいただく現場のさまざまな情報は、ご担当の方の「目」というフィルターを通して見たものであり、彼・彼女のバイアスがかかっています。現状認識、問題意識、分析能力が確かでポイントが合っていればそれはもうバッチリなのですが、そうでない場合は、上記のようなことが起こりえます、やっぱり。

「適当にお願いします」
これが一番困ります。
私にとって、どんな仕事にも「適当」というのはありえません。

丸投げは、頼むほうとしてはラクです。
相手にゆだねて、成果の良し悪しに責任を持たないわけですから。
でもそれでは、その仕事(事業)の末端の受益者のためにはなりません。
何より、仕事の楽しみを放棄しています。

安易にゆだねてしまった仕事は、完成しても愛着もなく、「他人がやった仕事」です。
だから私はどんな仕事も、お仕事をいただく方々と「協働」したいと思っています。
共につくり上げる過程で、面倒でも、手間でも、汗をかいて、悩むことで、ご一緒に成長し、目的のために全力投球する快感を分かち合うことができるからです。