2012年5月11日

女性たちの食の知恵

少し前ですが、山形へ行ってきました。
長年の知り合いである河北町で惣菜屋「デリカコンタ」を営む今田とも子さんを訪ねるために。

今田さんのお店へ伺ったのは今回が初めて。
「デリカコンタ」は地域でも評判だと耳にしていましたから、とても楽しみでした。

お店は国道沿いの便利な場所にありました。

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扉を入って左手、道路に面した窓に向けて、惣菜が盛られた大皿やトレーが並んでいます。
う~ん、色とも鮮やか! もうよだれが出そうです……。化学調味料・保存料不使用、できるだけ地元素材を使うことにこだわっています。

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揚げ物や焼き物もあります。でも、一番の特徴は、やっぱりこれ。↓

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旬の地場食材、農家の手作り乾物などでつくる煮物。この地域の“郷土の味”です。
でも、これじゃあ、皆さん普段家庭で食べている“おかず”じゃないですか。そんなものを買いに来る人がいるんですか?
「それが、この辺でも、もう作らなくなった、作れなくなったという人たちが増えてきてるんです」
と、今田さん。
事実、お昼前になると、続々来店。午後7時の閉店までにはいつも完売するそうです。
なるほど。生活の都市化の波は、確実にこの町にも来ていたのですね。

ここは単なる惣菜屋ではありません。
地域素材を活用し、その食材のおいしさを伝え、プレゼンテーションして、食材の新たなマーケットをも創造しています。郷土の味の伝承の場にもなっています。

さらに、今田さんが現在構想中なのが、県内他地域の固有食材をつかった、その地域の伝統食や郷土食とのコラボレーション。新たな惣菜トレーか大皿が1つ加わるのでなく、加えるのは、現在のお惣菜の中。つまり、写真(上)のたとえばフキとこんにゃくとあげなどの煮物に、希少な山菜料理をプラス。すると、「まったく別の料理になるんです。色合いも変わるし、珍しい山菜が入ることで豪華になる!」

出来上がった別の惣菜を、既存の惣菜に加えて新しい商品をつくり、食の価値を高める。うーん、考えつきもしなかった。
さすがは今田さん。商才溢れる経営者です。

地域を豊かにするのは食から。暮らしを、食卓の大切さを知る女性たちだからできる提案。
目からウロコ、脱帽です。
それにしても、デリカコンタのお惣菜はおいしい。味のバランスが絶妙で、歯ごたえを残しつつも、高齢者でも食べられるくらい柔らかく煮含めてあって、私は食べると止まらなくなります…。我が家の近くにも欲しい!
こんなお惣菜屋さんが、地域を救うのかもしれません。