2012年1月 7日

自分の頭で考える

新しい年になりました。
本年もどうぞよろしくお願いいたします!

さて、世間はゆるキャラブーム。
「ゆるキャラグランプリ2011」で第1位に輝いたのは、私の郷里の「くまモン」です。
でも、そもそも莫大なコストをかけて運営している自治体のゆるキャラ事業を疑問に思っている私は、その中でも特に多くの県民の血税が投入されている「くまモン」には、たとえ約10億円の経済効果あったとしても、その誕生ストーリーからしてとてももろ手を挙げてノンキに喜ぶことはできません。

いつからでしょうか。経済状況の悪化で先行き不安な世の中だから前向きにとポジティブシンキング論のビジネス書が売れる一方で、みんな疲れているんだといやしが求められ「ゆるい」ことがウケるようになったのは。

私は危惧しています。
ゆるいのが好き、癒されたいというニーズの先に「面倒なことは考えたくない」、「深刻なことにいちいち頭を使いたくない」、「気持ちいい、おもしろい、楽しいにだけ浸っていたい」という「思考停止」が待っているように思うからです。
いえ、すでにその傾向は顕著になってきています。

「気持ちいい、おもしろい、楽しい」体験がリフレッシュになり、活力源になるのは、それらが苦しいことや辛いことを乗り越えて、あるいはそれをぐっと我慢した先にあるからでは?

しかし、現在は、苦しいことや辛いことは一切したくない、ずっと気持ちいい、おもしろい、楽しいこと「だけ」に浸っていたいという風潮を「ニーズ」と呼び、エンターテインメント産業はより気持ちいい、おもしろい、楽しいを満たす商品を、メディアはそれらを刺激する情報を提供し短絡的答えを与えています。

友人の大学の先生が嘆いていました。
「最近の学生は、『どう思う?』と聞くと返事がない。自分で考えてごらんと言っても反応なし。指名すると『分かりません』。そしてすぐに、『答えは何なんですか?』と聞いてきて、その答えをそのまま暗記しようとする」
嘆かわしいことに、偏差値の高い大学でもその傾向があるのだとか。

思考のだいご味は、答えを導き出すまでの過程にあります。
シナプスに電気信号が走って点と点がつながった瞬間の「ひらめき」は、快感です。その喜びを手放し、面倒だからと他人の考えに頼る。
「日本人はまるめこまれたい人が多いのかな」
先日、友人と話していたときの会話です。
自分で考えることをせず、著名な人の説やメディアで流された主張になんとなく納得して、安心してしまう。
支配層にとってはまさに都合のよい洗脳しやすい民です。

考えたくないくらいに問題山積の現代社会、我々の未来。それでもやっぱり、時々自分の頭で考え苦しんで、2012年は本来の意味のeasygoingで生きていきたいと思っています。