2011年11月26日

何のため、誰のための地域づくりなのか

長崎県の小値賀島へ行ってきました。3度目の訪問です。
今回は小値賀の物産開発のお手伝いでした。
今回もいろいろ思うところありました。いくつもの新しい気づきもありました。
詳細は、後日リポートさせていただくとして……。

小値賀は私の中で「特別」な島です。
人があることを特別だと思う理由は何でしょうか?
自分と他者(モノ)との間に、体験を通して思い出や記憶が紡がれ、両者の関係にある意味を見出した時。自分だけの深くて濃いつながりができたと感じたときではないかと私は思っています。

私が小値賀のファンになった大きな理由は、小値賀の人々との出会いです。
出会いを通して、町の自然が、文化が、空気が私の心の琴線に触れ、特別な意味を持ったからです。

言ってみれば、一方的に恋したような感じ?

単なる島を訪れる「旅人」、それも繰り返し訪れるヘビーユーザーならばいいんです、それでも。
でも、地域外の人間として、その地域にかかわる場合、一方的思い入れ、ラブコールは危険です。

地域づくりの立場・視点の場合、一歩引いて俯瞰するのは当然のこと、安易な発言は避けなければならないと思っています。
なぜならば、島に住んでもいない人間が偉そうに勝手なことは言えないと思うからです。
しかしながら、地域づくりの場面では、このシンプルな原則が忘れ去られがちです。

外部の力なんて、大したことはありません。
地域が変わるのは、その地域に住む人たちの主体的な行動によってのみ。
外部のアドバイスが地域が動くヒントやきっかけになったとしても、それを受け入れる選択をして実際の行動に移したのは地域住民です。

外部から地域にかかわる人間は勘違いしてはいけません。
「自分が描いた“絵”の通りにやれば活性化するのに」、「みんなハッピーになるのに」……
でも現実はそうはならない。ある地域が長年「やらなければと思っているのにそれができていない」状態なのには、相応の理由があります。
地域の実情があるのです。

だから、時間がかかります。
地域が動き変わって行くのは最低でも10年スパンが必要と言われます。

最近耳にしたとある地域でのこと。
「いったい誰のための、何のための提案なのか」
矢継ぎ早に数多くの提案と計画を示し、それに対する地元の早急な対応を要求をしてくる「意欲ある、意識の高い」地域外のアドバイザーたちに閉口した担当者の声です。
外部アドバイザーたちからの提案や計画は素晴らしいものかもしれません。
でも、地域ってそう簡単には動くものではないのです。

どんな仕事も、その事業の受益者である末端のユーザーの方々に「よかった」、「幸せだ」と感じてもらえることが私の最終到達点です。そこを常に描き目指しつつ、クライアントさまとゴールまで協働していく過程が何より楽しく、おもしろく、ワクワクします。

小値賀は大好きな島だから、その関係性を大切にしていきたいと思っています。
今回強く感じたことがあります。
それは、小値賀での仕事や暮らしに希望を見出し、移住した、島の将来を担う若い人たちがその高い意識・意欲・目的を失うことなく、笑顔で生き生きと成長していってほしい!ということ。
そのための基盤づくりのお手伝いが何かできないだろうかと、おこがましくも、でも独りよがりにならないように、少しでもお役にたてるように、ない知恵絞っていろいろ思いを巡らせているところです。