2011年11月22日

嫌なことを嫌だと言う勇気

TPP参加問題。
野田首相は「まだ参加を決めたわけではない。関係国との協議に入っただけだ」とのたまっておられます。
時事通信の世論調査によれば「TPP参加賛成」が52.7%だとか。

6万人がデモを起こしても、9万人が署名をしても、泊原発は再稼働しました。
「TPPという協定はおかしい」、「日本にほとんどメリットのない協定をなぜわざわざ結ぼうと焦るのか?」
そうさまざまな人が声を挙げても、国会で参加反対する議員の数が増えても(与党の中には今も反対派が多いのに)、農業団体や消費者団体が署名活動をしても、首相はもう参加を決めている。
無力感です。

先日、スローフードジャパン副会長の石田雅芳さんにインタビューする中で、こんな話が出ました。
石田さんは福島県の出身。ご両親は今も福島市内に居住されています。
※石田さんのスローフード連続インタビューをジアスニュースに連載中。近日中にここにも全文掲載の予定です。

「原発の問題に数値や理論で推進派に反原発の意見を述べても対抗できない。同じ土俵で戦ってはダメなんです。僕は数値がどうだからというのでなく、 あの原発という、人間がもはやコントロールできないことが露呈した不気味なものに頼って生きるのが気持ちが悪い、嫌だと言ってる。推進派は『原発は嫌だと言いながら、 それに替る新エネルギーについてきちんと語れない反対派は無責任だ』と言いますが、ただ『嫌なんだ』と言ってはいけないのか。それを言う権利すら僕らにはないのか」

石田さんのこの言葉を聞いた時、私には腑に落ちるものがありました。
なぜ、世の中、全てが理屈でなければならないのでしょうか? 理屈で納得させられればそれで安心、OKなのでしょうか?
冷静沈着、客観性、経済効率、収益性……頭でばかり考えて、「心」で考えることを忘れてしまってはいないか。
あまりに私たちは、理屈に頼り過ぎてはいないだろうか。

不安な世の中だからこそ、本来備わっている感覚を研ぎ澄まし、本能をしっかりと働かせなくては。
そのためには、漠然とした感覚や感情をきちんと言葉にして主張しなければ。
そして、日本社会全体を覆う「空気」という名の気持ちの悪いものになど負けず、嫌なことは嫌だとはっきり言う勇気を持ちたいと思っています。