2011年10月24日

TPP=農業問題?

野田首相がTPP参加に意欲的です。
菅直人前首相のTPP参加表明からこの方、その突然さへの疑問、また前首相の文言そのままに「TPPは平成の開国」、「バスに乗り遅れれば世界の孤児になる」と煽るマスメディアに、非常に怪しげなものを感じてきました。

3.11後、一旦は下火になったTPP参加への動きが、このところ一気に加速しそうな勢いです。
政府も、主要メディアも、「結論=TPP参加ありき」で進めています。
ということは、すでにTPP参加は既定路線。つまり、誰が何を言おうが決まってしまうことなのでしょうか?

ここにきて、農業界のみならず、医療や保健の分野からも議論が巻き起こりつつあります。
十分な議論が尽くされず、TPPの本質をうやむやにしたまま、興味ない大半の大衆を煙に巻く形で協定を結ぼうという流れに、批判も高まっています。

TPPへの参加でダメージを被るであろうものは、農業だけではありません。
TPPとは、加盟国の間で工業品、農業品を含む全品目の関税(貿易にかける税金)を撤廃し、政府・自治体による調達(購入)、知的財産権、労働規制、金融、医療サービスなどにおけるすべての貿易障壁の撤廃をめざす協定です(Wikilpediaより)。
TPPの交渉の範囲は農業を含めて24もの分野があるのです。

しかもこのTPP、一旦参加してしまうと足抜けはできないと言われています。

主要メディアは、TPPを「農業vs経済界」として、利権を失いたくない農業団体や農林族の必死の抵抗というわかりやすい悪役を仕立て、TPPこそ日本を救う道だと偽善の旗を振って誘導しています。

TPP=農業問題だと、巧妙にすり替えられています。
「なんだか政治的なにおいがするし、関わりたくない」
「農業団体や農民が反対だと叫んでいるだけ」
「私には関係ない」
そう思っている人が多いとしたら、それこそが政府や主要メディアの思うツボです。

TPPには韓国も中国も参加していません。韓国はアメリカとのFTAを選びました。
TPPに参加して、どんどん日本製品を輸出すればいいと言う意見もあります。
しかし、日本を加えた参加10カ国のうち、日本とアメリカ2カ国でGDPの割合が91%を占める中、いったいどこに向けて輸出を拡大するのでしょうか?
アメリカに? 現在、日本の輸出企業は円高に苦しんでいます。アメリカ経済はご覧の通り疲弊しています。

誰がどう考えても、TPPを結ぶことは日本にとってメリットが少ない。
なのになぜこれほどまでに強行に政府は参加を急ごうとするのか。

日本政府が米政府の言いなりになっている(あるいは言いなりにならざるを得ない事情がある)としか思えません。
そしてその米政府のバックで激しい圧力をかけてきているのが、マルチナショナル企業群です。
TPPのための米国企業連合一覧↓
http://www.hatatomoko.org/tpp-americakigyorengo.html彼

彼らが、彼らの有利になるスタンダードで日本の市場を明け渡すよう要望しているのです。

少し古くなりますが、TPPのうさん臭さを暴くスクープ記事を、5月、日本農業新聞がすっぱ抜きました(5/19・5/20・5/21)。
必読です!↓
http://www.twitlonger.com/show/ai76qd
http://www.twitlonger.com/show/aiptbu
http://www.twitlonger.com/show/ajf0om

また、政府とともにTPP参加に突っ走る日本経済界の思惑について秀逸な分析を試みたブログを見つけました。↓
http://nicoasia.wordpress.com/2011/01/21/%E3%81%AA%E3%81%9C%E7%B5%8C%E6%B8%88%E7%95%8C%E3%81%AF%E5%A3%B2%E5%9B%BDtpp%E3%82%92%E6%8E%A8%E9%80%B2%E3%81%97%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%A8%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%8B%E8%80%83%E3%81%88/

グローバルに経済が進んでいくということは、経済に「国境」がなくなるということ。
世界のどこかで起こった経済危機はまたたくまに世界中を巻き込みます。
そして、マルチナショナル企業は、世界中どこででも、自社に有利な場所で金を儲け、富を収奪し、利用価値がなくなれば、その国を去ります。
無関心、無防備、無抵抗な日本は、マルチナショナル企業の格好の餌食です。

とんでもないことが起ころうとしています。
「何かがおかしい」
私はこれからもそう叫ぶ自分の“本能の声”を大切にしたいと思っています。