2011年8月19日

やっぱり必然だったのか?

残暑が厳しすぎます…きのうは日中渋谷を歩いていて、クラクラしてしまいました。

さて、きょうはとても私的なことを書きたいと思います。
これまで私は、この場で、いわゆる日常の出来事を披露することはありませんでした。
が、なんでも意味づけることが好きな私は(笑)、今回、「いま、この時だったからこの体験!」と勝手に1人ごち、なんとなくしたためてみたくなりました。
以下、ご笑覧いただければ幸いです。

小田和正さんのコンサートへ行ってきました。
何を隠そう私はオフコース時代からの小田さんの熱烈なファン。
でも、ソロになってからの小田さんのコンサートは行ったことがありませんでした。
お金を払っての小田さんのコンサートは今回が初だったのですが、実はその前、行ってるんです。
一昨年のTBSの番組『クリスマスの約束』の収録コンサート!(TBSからの当選通知の封書を見た時は、信じられずもう狂喜乱舞。もちろん、何のコネもなく、普通に応募して当たりました)。

この『クリスマスの約束』。あの伝説の21組34人のアーティストの大メドレー『22分50秒』が歌われた記念すべき回だったのですが、そんな時に生で観覧できたのはものすごくラッキーだった半面、小田さんファンとしては、小田さんの歌声があまり聞けなかったことでフラストレーションがたまってしまったのも事実(放映されないところで、会場にいるファンに向けて小田さんが特別に自分の歌を数曲歌ってはくれましたが)。収録会場からの帰路、「やっぱり、小田さんのコンサートへ行かなきゃ」と決意したのでした。

8月10日のコンサート本番。
小田さんの生歌は、『クリスマスの約束』でもしっかり聴いていましたが、コンサートの時間全てが小田色に染まるのはなんといっても感無量!
相変わらずピタッときまる正確な音程、のびやかな高音域、言葉を大切にした歌い方……やっぱり小田さんの声は神様からの贈り物ですね。

アッと言う間の3時間超。何よりうれしかったのは、オフコース時代の、それも私が大好きな曲が数曲演奏されたこと。アンコールでの『Yes-Yes-Yes』、『いつもいつも』など、オフコース時代のコンサートを彷彿とさせ、涙ものでした。
アンコール4回目の時、「ちょっとやりすぎました」と自虐的コメントをしつつ、話声には疲れも見えていたにもかかわらず、最後まで高音の張りを失わず『生まれ来る子供たちのために』を美しく丁寧に歌い上げた小田さん。

アリーナに張り巡らされたいくつもの花道を縦横無尽に走り続けたのは、遠くの席のファンにも感謝の気持ちを伝えたかったからだとか。盛んに「こんなくそ暑 い中、この会場まで足を運んでもらってホントに申し訳ない。それに、あの席。あんな遠い席で。ホントに申し訳ない。そこだって高いんでしょう?(笑)」(こんなニュアンスでした)と言い、「ありがとう」を連発、この時間に自らの全てを捧げ聴衆に自身の音楽を精一杯聴かせようとしてくれる小田さんの姿に何よりも感動し、この時間と場を与えてくれた小田さんに心から感謝しました。

コンサート中、小田さんの前向きで心に響く詩と透き通った歌声こそ、震災後復興に向けて必死で前進し続ける東北の仲間たちに聴かせたい、彼らが聴けばどれだけ力強い励みになることだろうかと幾度も思い、そのたびに、小田さんが霞みました。

興奮冷めやらぬまま帰宅した私でしたが、翌日は三重県での大きな仕事が待っていました。
しかし。いざ眠ろうとすると、小田さんの曲が頭の中をぐるぐる回って、まったく眠れません! 
「ダメだ、明日は体調整えて行かなきゃならないんだから」と自分に言い聞かせるほどに目は冴えてきます。
そのうち、夜はしらじらと明け始め……今から寝入って早朝の新幹線に乗り遅れることのほうを恐れ、諦めて起床。PCを開いて仕事を始めてしまいました。
そして、そのまま朝を迎え、東京駅へ。
新幹線の中で寝ていけばいいやと思いきや、3人掛けシートの中央席では無理でした。
窓際のサラリーマンのお兄さんはしょっちゅう電話で席を立つわ、通路側の小学生の女の子のゲーム機の音がうるさいやらで結局、睡眠は取れず。
ならば、近鉄の中で少しでも眠ろうと勢い込んで乗り込むも、お盆の時期とあって、大人数のファミリー一団と同じ号車となってしまい、そのあまりに賑やかな団らん(?)に一睡もできないまま仕事に突入とあいなりました。

その日は、セミナーの講師、現地取材の報告(プレゼン)、その後のパネルディスカッションのコーディネーターと大役が3本続いておりました。手慣れた著名な方々と違って、特別な技術も素晴らしい実績・経歴もない私にとって、集中力、つまり気力第一でした。なのに、どんなにカフェインでしゃっきりさせようとしても、なんとなく頭にモヤがかかったような感じ。いかん、いかんと、気を引き締め、セミナーはなんとかこなしました。休憩をはさんでのプレゼンが終わった頃には、さすがに緊張の糸が切れそうな感じでした。

ふと気つけば、頭の中では小田さんの歌がぐるぐる。
いよいよ、パネルディスカッションです。
事前に入念なシナリオをつくりそれに沿って予定調和な議論に落ち着くことをヨシとしない私は、クライアントさまのご心配をよそに、「ライブで本音を引き出し、会場を巻き込む議論にしたい」と我がままを貫かせていただきました。
それだけに、成否を分けるのは集中力と緊張感でした。

この時、開き直った私の頭に思い浮かんだのは、昨日の小田さんの姿でした。
“同じ時を共有する人たちに、自分が今持てるものの全てを捧げる”。

結果、パネルディスカッションでは会場からの意見も飛び出し、会場が一体となった盛り上がりを見せ、この日ご参加の皆さま、クライアントの皆さまになんとかご満足いただけるものになったように思います。

パネルディスカッションが始まるのを待ちながら、大事な仕事の前日に、コンサートで1人盛り上がって舞い上がってしまった自分を後悔し始めていた私でした。
また、万全の体調で臨むことは仕事人として当たり前のことです。
しかし、よりによってとても楽しみにしていた仕事の前日に、大好きな小田さんのコンサートがあり(当然、生で聴けば冷静ではいられなくなる…笑)、貫徹状態で臨む羽目になったことは、偶然だったのだろうか??
いや、小田さんのコンサートがあったからこそ、感動の盛り上がりのまま気持ちを高揚させ、(なんとか頭も覚醒させて)、誠心誠意謙虚にあの場で事に対峙することができたのかもしれないと思うようになりました。

単に都合よく解釈しているだけかもしれません(笑)。
でも、あの時、あの場所を共有する人たちのことを心から大切に思う気持ちが湧きあがってきたのは、やはり小田さんのお陰だと私は思っています。
心に残る、忘れられない体験となりました。

「小田さん、ありがとうございました。またコンサート行きます!」