2010年7月30日

ローズガーデン物語 第13回 豊かさのかたち(1)

桜庭さんのローズガーデン物語の13回目です。
サークルの生徒さんたちに花のある豊かな暮らしを提供するためには、知識だけでなく、まずは自身がその楽しさを味わい体験し、実感を持って伝えなければならないことに桜庭さんは気づきます。
当時世の中はハーブブームであり、ガーデニングブーム。
桜庭さんはガーデニングについても学び始めます。
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平成10年の8月に市民サークルが誕生した。
世の中のハーブのブームの追い風とサークルの立ち上げに熱心に協力していただいた有志の皆さんのお陰で、サークルは順調な滑り出しであった。

サークルの名称は『花もいいわ(仮称)』とした。
花のある豊かな暮らしを楽しみたい。その一方で花だけにこだわりたくはない、とい う野心もあった。
相対的な価値観の中で、何をチョイスするか? ということ自体が楽しいことである。1999.4 キッチンハーブの寄せ植え.JPG
▲キッチンハーブの寄せ植え(平成11年4月例会にて)

ブームというのは、得てして数年で過ぎ去っ ていくものである。人々の心も移ろいやすい。
サークルが誕生するときは、エネルギーがあるが、その熱はやがて冷めるときが来る。
栄枯盛衰は、世の習い。 サークルの会員が減り、自動消滅するのは想像するに難くない。
サークル自体が、時代の変化に対応していける仕組みでなければ長続きできないと考 えた。
出席してもしなくても毎月の月謝を集める従来の習い事形式では、先が見えていた。会員が、自分の都合やサークルの毎月のテーマに合わせて出席できる ようにした。欠席の時には、会費がかからないようにした。
こうすることでサークルの運営主体がはっきりする。
たかがサークル、されどサークルに なった。
サークルを引っ張っていく私たちが、事務局兼講師となった。1999.6 セントブーケ.JPG
▲セントブーケづくり(平成11年6月例会にて)

ハーブについて体系的に学んだとはいえ、毎月同じような事をやるわけにはいかない。
「ハーバルライフの勧め」を掲げて活動するからには、月1回の例会に形を変えた豊かさを提供しなければならない。その豊かさに触れることが、会員 にとっては楽しいことであり、自分の時間を持てた喜びにつながる。
第3者を楽しませるためには、主宰者自身がその楽しさを知らなければならな い。
庭先のハーブを使って、こんな事もできる。あんな事もできる。そして、ハーブのある庭って、どんなのだろう?
ハーブのブームと時を同じくして「ガー デニングブーム」が到来していた。ことにイングリッシュガーデンといわれる美しい庭が注目されていた。

ガーデニングについても体系的に学んでみよう と考え、再び某協会の通信教育を受けた。
そして、旧職場の先輩と、翌年の8月に本場のイングリッシュガーデンを見に出かけた。
英国で最初にラベンダーを栽培した農場が、ノーフォークに現存していることを知った。
そこを訪れてどのようになっているのか見聞することが、第1の目的であった。
そして、世界的に有 名なガーデンをこの眼で見て、そこへ訪れて来る人々の有り様(ライフスタイル)を観察することが、第2の目的であった。
豊かさの一つの形をこの眼で確かめたかった。        (第14回へつづく)ノーフォークラベンダー園1.jpg
▲ノーフォークのラベンダー園。奥の白い温室はラベンダーの苗売場。その後ろの建物はかつての小麦製粉場だ。