2009年11月 7日

ローズガーデン物語 第9回 サークル誕生

額に入った押し花(1)
桜庭さんのローズガーデン物語の第9回です。
前回のハーブ講座では、ハーブ畑で摘んだ素材を押し花にする宿題をもらって、受講生たちは帰途につきました。

きょうは講座の最終回。
さて、どんな作品が?
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本日は講座最終回。
ハガキ大の用紙をひとり2枚配布した。
受講生には、お手本を見せた。
押し花といえど作品にするには、イメージが大事である。
お手本をまねてやれば、そこそこの作品にはなる。
ハガキ大の作品でも額に納めれば、見栄えがする。
小さな空間を演出するには手頃である。
キッチンの壁や玄関の下駄箱の上などに置けば、さりげない自己表現になる。公民館 押し花.1.JPG
▲作品のお手本を選ぶ受講生たち。自ら描く作品のイメージがないと、お手本選びも迷ってしまう。

フジテレビ開局50周年記念番組で倉本聰脚本の「風のガーデン」を毎回見ていた。
大学病院の麻酔科の医師である主人公の白鳥貞美(中井貴一)は、自らが膵臓癌の末期であることを知る。
貞美は、妻と死別している。2人の子供たちを祖父貞三(緒形拳)が強制的に引き取り、息子を勘当した。
祖父自身も若い頃は大学病院の医師をしていたが、そののち富良野で在宅終末医療に携わっている。
貞美の妻が生前郊外に設けたグリーンハウスの周囲に、宿根草を中心としたガーデンを孫たちと貞三で造っている。
下の男の子は、知的障害を抱えているが、草花の名前には非常に詳しい。

貞美は、最期の時間を富良野で過ごすことを考える。父親は、息子が末期癌であることを知る。
息子の勘当を解き、息子に詫びる。
小さな押し花の額を見つけた。
ガーデンに咲いたカンパニュウラの花を押し花にした、という。
貞美は、自分の娘ルイ(黒木メイサ)に自分が死んだらその額を恋人の氷室茜(平原綾香)に届けて、死を告げて欲しいと頼んだ。
歌手としてプロデビューした茜は、ルイからカンパニュウラの押し花を受け取り、貞美の死を知る。
茜は、その夜チャペルでのコンサートで涙ながらに「カンパニュラの恋」を歌う。

言葉以上に押し花が語った一例だが、花びらを1枚ずつ張り付ける押し花は作り手の気持ちがこもる。
誰もが皆、内にドラマを秘めている。公民館 押し花.2.JPG
▲和気あいあい、作品づくり。秘めたドラマを表現するのは難しい。

市民講座の4回目(ハーブ畑)に、受講生数人から「サークルを作って欲しい」との打診があった。
これを受けて、私と妻で前向きに検討した。
サークルを作ることは、予想の範囲内のことであった。
どのようにしたら、長持ちのするサークルになるのか、5回目の講座までの間考えた。

全5回の講座が無事終了した。
簡単な終了式が行われた。
その後、受講生の代表が「ハーブのサークルを作りたいので、参加できる方はこの場に残って欲しい」と受講生に呼びかけた。
根回ししてあったとみえて、6割ほどの受講生が残ってくれた。
ハーブを触媒とした交流がはじまった。 (第10回へつづく)OSIBANA2.JPG
▲この想いを受け止める人は誰だろう……。